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<title>桃猫（pink-cat）のお部屋</title>
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<description>普段の私は「オトコ」として生活してます。といっても、こんな長い髪してますから、相当怪しいヤツと思われてるかも・・・でもいいんです。そういうの好きだから。</description>
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<title>ボクと私</title>
<description> 小さい頃、ボクは漫画家になりたかった病弱で家に閉じ籠りがちだったボクは、漫画本が最大の友だちだった何度も何度も、繰り返し読んだそのうち、自分でも描いてみたくなった模写するんじゃなく、自分が感じたままを画用紙にぶつけてみたでも、なかなかうまく描けないその頃は、まだ父が家にいた紙とえんぴつを差し出し、ＴＶの野球中継を観ていた父にこう言ったねえ、アトム描いてけむたそうに追っ払われるそれでも、執拗にアトム
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<![CDATA[ 小さい頃、ボクは漫画家になりたかった<br />病弱で家に閉じ籠りがちだったボクは、漫画本が最大の友だちだった<br />何度も何度も、繰り返し読んだ<br />そのうち、自分でも描いてみたくなった<br />模写するんじゃなく、自分が感じたままを画用紙にぶつけてみた<br />でも、なかなかうまく描けない<br /><br />その頃は、まだ父が家にいた<br />紙とえんぴつを差し出し、ＴＶの野球中継を観ていた父にこう言った<br />ねえ、アトム描いて<br />けむたそうに追っ払われる<br />それでも、執拗にアトムを描いてほしいとおねだりした<br />出来上がった絵は、アトムとは似ても似つかぬサムライみたいなヘンな絵<br />こんなのアトムじゃない<br />そういって泣きじゃくると、うるさいと言って殴られた<br /><br />でもボクは、その絵を大切に残していた<br />初めてボクのために描いてくれた絵<br />父らしいことは何ひとつしてくれない人だったけれど<br />唯一、形として残してくれたものだったから<br /><a href="http://blog-imgs-31.fc2.com/p/i/n/pinkcat1009/hikaru3336-1.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-31.fc2.com/p/i/n/pinkcat1009/hikaru3336-1s.jpg" alt="hikaru3336-1.jpg" border="0" width="115" height="160" /></a><br />一度だけ、父と母に遊園地へ連れていってもらったことがある<br />どれだけ胸がときめいたことか<br />でも父は、私と母が遊具に乗ってる間、ずっとベンチでタバコをふかしていた<br />居心地悪そうに、眉間に皺を寄せて煙を吐いていた<br /><br />学校の授業で覚えた編み物をしてると、突然父がやってきてこう言った<br />女みたいなことするな<br />編みかけの毛糸を取り上げられ、ゲンコツを落とされた<br />だって、ボクは運動が苦手なんだよ<br />お絵描きはいいのに、どうして編み物はいけないの？<br />なんで、男の子が編み物しちゃダメなの？<br /><br />漫画を描いてるときが、いちばんしあわせだった<br />みんな上手だねといって褒めてくれるから<br />父を除いては・・・<br /><br />５年のとき、学級新聞の挿絵を任された<br />ただひとつ、条件があった<br />学級新聞だから、漫画のキャラクターじゃないものを描きなさい<br />担任の先生にそう言われた<br />描けなかった<br /><br />その頃から、父と母が夜遅くまで帰ってこないようになった<br />父が脱サラし、念願の書店を開いたからだった<br />日曜も仕事だから、母と一緒に出かけることもなくなってしまった<br /><br />中学生になった頃、突然父が帰ってこなくなった<br />母は、書店を閉めちゃったから東京へ働きに行ってるのよと教えてくれた<br />そんなこと、ボクにはどうでもよかった<br />遠慮なく母に甘えられることが、なによりも嬉しかった<br /><br />ときどき、家にヘンな人が来るようになった<br />夜中に突然やってきた人たちに対し、母がペコペコ頭を下げてる<br />何か、大変なことが起きてる・・・<br /><br />ほどなく、母は深夜まで働くようになった<br />ボクが母を独占できた期間は、ほんのわずかだった<br />お酒の匂いをさせて帰ってくる母を見て、小さな胸が締めつけられた<br /><br />あんたも少し飲んでみる？<br />そういって、中学生のボクにお酒を勧めてきたことがある<br />何も言えず、静かに布団に潜り込んだ<br /><br />ボクは、中学でいじめに遭ってることを黙ってた<br />ズボンを脱がされ、おしりに棒を突っ込まれ、そんなこと、どうして言えるだろう<br />自殺も考えた<br />でも、そんなことしたら母が悲しむと思ってできなかった<br />それ以前に、そんな勇気がなかった<br /><br />自殺することを勇気と呼んでいいかどうか、ボクにはわからない<br />でも、いったん死を決意すると、スッと恐怖が消えた<br />いや、本当はすごく怖かった<br />前に進む勇気と、うしろへ下がる勇気<br />ボクは、前者を選んだ<br />選ぶしかなかった<br /><br />初めて抵抗した<br />いつもやられっぱなしのボクが刃向かってきたから、最初はみんな驚いていた<br />でもすぐに胸ぐらを掴まれ、取り囲まれた<br />もう後戻りできない<br />恐怖がボクを突き動かした<br />傍にあった椅子を持ち上げ、それを無茶苦茶に振り回す<br />当たって大けがをしても知らないぞ<br />退学になってもいいと思った<br /><br />みんな、ボクをいじめなくなった<br />そのかわり、完全に孤立した<br /><br />ボクは、いつも孤独だった<br />孤独だから、人恋しい<br />同時に、ひとりでいる時間も好き・・・<br /><br />臆病で、思慮不足で、ガサツで、自分の意見をはっきり言えないボク<br />誰かと一緒にいるときは、それを隠すため明るく振る舞ってる<br />それに疲れると、フラッとひとりになる<br /><br />４年前、私という存在ができた<br />ボクじゃなくて、私<br />またひとつ、自分の居場所が増えた<br />嬉しかった<br /><br /><br />みんな、いろんな人生を歩んできてる<br />私なんか、まだまだヒヨッコ<br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?821479"><img src="http://image.with2.net/img/banner/banner_23.gif" width="88" height="31" border="0" alt="人気ブログランキングへ"></a> ]]>
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<dc:date>2009-11-25T15:22:31+09:00</dc:date>
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<title>初めての法要</title>
<description> 朝、いきなり母から電話があって「昼２時から○○寺で法要があるから、一緒に行ってくれへんか」母は背骨を疲労骨折していて、思うように歩けない。１時過ぎに母をクルマに乗せ、ゆっくりていねいに国道を走らせる。「供花とお線香を買っておきたいから、駅前のスーパーで降ろしてくれるか」母が供花などを買ってる間、市営駐車場にクルマを放り込む。花屋の前で合流し、そこから徒歩でお寺に向かった。ほんのわずかな段差も、母にと
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<![CDATA[ <a href="http://blog-imgs-31.fc2.com/p/i/n/pinkcat1009/hikaru3254j.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-31.fc2.com/p/i/n/pinkcat1009/hikaru3254js.jpg" alt="hikaru3254j.jpg" border="0" width="120" height="89" /></a><br />朝、いきなり母から電話があって「昼２時から○○寺で法要があるから、一緒に行ってくれへんか」<br />母は背骨を疲労骨折していて、思うように歩けない。<br /><br />１時過ぎに母をクルマに乗せ、ゆっくりていねいに国道を走らせる。<br />「供花とお線香を買っておきたいから、駅前のスーパーで降ろしてくれるか」<br />母が供花などを買ってる間、市営駐車場にクルマを放り込む。<br />花屋の前で合流し、そこから徒歩でお寺に向かった。<br /><br />ほんのわずかな段差も、母にとっては険しい崖と大差なく、万一バランスを崩して転びでもしたら骨折する怖れがある。<br />手を貸そうとすると、「心配ない」といって気丈な笑顔を向けてきた。<br /><br />それにしても、ずいぶん小さくなってしまったものだ。<br />若い頃の母は「相愛学園のソフィア・ローレン」と呼ばれていた（らしい）。<br />小さくなっても、気丈なところは昔と変らない。<br />それが、なんだか嬉しかった。<br /><br />お盆に、妻と一緒に墓参りをしてから２ヶ月になる。<br />あのときは、うだるような暑さに辟易させられたが、今日は見事な秋晴れだ。<br /><br />敷地の砂利道を進み、バケツに水を汲む。<br />誰が供えたのか、すっかり干からびてしまった供花が飾られていた。<br />それを抜き取り、お墓の周りを簡単に清掃し、墓石を清める。<br />買ってきた供花を挿し、お線香に火をつけて立てる。<br />そして、合掌。<br /><br />本殿には紫色の垂れ幕がかかっていて、中から住職らしき人の声がした。<br />靴を脱ぎ、しずしずと建物の中に入る。<br />母が用意していたお布施を渡し、何か受け取ると、「腰が悪いから」といってすぐ出てきた。<br />「お説教、聞いて行かんでええの？」<br />「お金さえ払ったらもう用はない。駅前の喫茶店でコーヒー飲もう」<br />母のこういうところが、私は好きだ。<br /><br />私はアイスコーヒー、母はクリームソーダを注文。<br />「私が死んだら葬式なんかせんでええよ。お経もしていらん」<br />「でも、お墓には入るんやろ？」<br />「先祖が入ってはるからな。そのために、今日はお金を払いに来たんや」<br />母は、そういう人なのだ。<br /><br />「あんた、お小遣いちゃんと持ってるか？」<br />「余計な心配せんでいいって」<br />母にとって、私はいつまでたっても子どものままらしい。<br /><br />あっけない法要体験。<br />私にすれば、こうしてひさしぶりに母と喫茶店に入ったことのほうが大切だ。<br />喫茶店の代金は、当然のように母が払ってくれた。<br />遠慮せず、それに甘える。<br /><br />「荷物、持とうか」<br />「これくらい、自分で持つわ」<br />皺だらけになった母の顔が、とても美しいと思った。<br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?821479"><img src="http://image.with2.net/img/banner/banner_23.gif" width="88" height="31" border="0" alt="人気ブログランキングへ"></a> ]]>
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<dc:date>2009-10-15T01:36:00+09:00</dc:date>
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<title>居場所</title>
<description> 初めて自分のパソコンを買ったのが1996年。Windows95が発売された翌年の初夏だった。職場でpc98マシンをずっと使っていたから、設置から操作にいたるまで、とくに困るようなことはなかった。当初はパソコンでDTM（音楽制作）することが目的だったのに、インターネットの世界にすっかり魅せられ、ISDNの64Kという今では信じられないくらい遅いアクセス速度に辟易しながらも、毎晩のように無骨なCRTモニターの前で夜更かししていた。
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<![CDATA[ 初めて自分のパソコンを買ったのが1996年。Windows95が発売された翌年の初夏だった。職場でpc98マシンをずっと使っていたから、設置から操作にいたるまで、とくに困るようなことはなかった。<br />当初はパソコンでDTM（音楽制作）することが目的だったのに、インターネットの世界にすっかり魅せられ、ISDNの64Kという今では信じられないくらい遅いアクセス速度に辟易しながらも、毎晩のように無骨なCRTモニターの前で夜更かししていた。<br /><br />当時はポルノサイトに対する規制がまだまだ甘く、その気になればいくらでもモロ画像を見ることができた。最初は女性のヌードばかり見ていたけれど、リンクを辿っていくうちゲイサイトに行き着いた。<br />私は、男性の裸にはまったく興味ない。そうじゃなく、肛門にセックスされている男性が悦楽の表情を浮かべていることに、ひどくショックを受けた。<br /><br />その数年前、私は男性にセックスされてる。<br />飲み屋でさんざん飲まされ、自宅に招き入れられたとたん、力ずくで奪われた。<br />痛くて怖くて、屈辱的だった。<br />当時の私はこの世界にまるで興味がなく、むしろ女扱いされることを嫌っていた。そんな私を腕力でねじ伏せ、肛門に性器を挿入してきたものだから悔しくてたまらない。<br />でも悲しいかな、私には反撃する力も勇気もない。ただじっと耐え、無事解放してもらうよう祈るしかできなかった。<br /><br />モニターに映し出された若者を、ぼんやり見つめる。<br />なんで、そんな幸福そうな顔してるの？<br />こんなひどいことされてるのに、なんでそんな顔ができるわけ？<br /><a href="http://blog-imgs-31.fc2.com/p/i/n/pinkcat1009/hikaru3266-1.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-31.fc2.com/p/i/n/pinkcat1009/hikaru3266-1s.jpg" alt="hikaru3266-1.jpg" border="0" width="120" height="90" /></a><br />その年の暮れ、あるゲイサイトで知り合った男性と某所で会うことになった。<br />やさしいお兄さんという感じで、正直ホッとした。<br />誘われたけれど、私は断った。<br />今日は会って話がしたかっただけ、そういうと、快くＯＫしてくれた。<br /><br />翌週、またその人と会った。<br />今度は断れない。<br />彼の家までついていき、手料理をご馳走になった。<br />私は、あの写真の若者のように、セックスの快感を得たかった。<br />今の私なら、それができるかもしれない。<br /><br />結論からいうと（合意の上だったから）あのときのような屈辱はなかったけれど、快感もなかった。ただひたすら、痛かっただけ。<br /><br />快感が得られるようになったのは、ずっとあとになってから。<br />3年くらい、かかったかな。<br />今じゃ、男性としてのエクスタシーとは比べものにならないほど強烈に感じる。<br />無限の快感・・・<br />あのときの若者に、やっと追いついた。<br /><br />でも、ゲイの世界では、男性としての私しか相手にしてもらえない。<br />女装の世界ってのは、限りなく男女の関係に近いと思う。<br />少なくとも、私はそう思ってる。<br /><br />ある意味、私はあの若者を超えてしまったのかもしれない。<br />だから、もうゲイの世界には戻らない。<br />戻りたくない。<br /><br />ここが、私の居場所。<br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?821479"><img src="http://image.with2.net/img/banner/banner_23.gif" width="88" height="31" border="0" alt="人気ブログランキングへ"></a> ]]>
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<title>小学校の同窓会</title>
<description> 人と関わらず、生きていくこと。私には無理かな。友だちのひとりに、滋賀の山奥で陶芸してるヤツがいる。私は訊いた。「淋しくないの？」「たまに」それでも彼は、ロクロと向き合う人生を選んだ。女にモテることで有名だった友人。私に向かって「おまえは相変わらずやなあ」と言って彼は笑った。離婚、再婚を繰り返し、それがあたかも勲章のように言ってはばからない。今、彼はひとりで小さなマンションに住んでいる。部下たちに慕
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<![CDATA[ 人と関わらず、生きていくこと。<br />私には無理かな。<br /><br />友だちのひとりに、滋賀の山奥で陶芸してるヤツがいる。<br />私は訊いた。<br />「淋しくないの？」<br />「たまに」<br />それでも彼は、ロクロと向き合う人生を選んだ。<br /><br />女にモテることで有名だった友人。<br />私に向かって「おまえは相変わらずやなあ」と言って彼は笑った。<br />離婚、再婚を繰り返し、それがあたかも勲章のように言ってはばからない。<br />今、彼はひとりで小さなマンションに住んでいる。<br />部下たちに慕われ、毎晩のように彼らを誘い、夜の街を徘徊している。<br /><br />初恋の相手、京子ちゃん。<br />すっかり老けていた。<br />それでも、当時の想い出を話す彼女は、相変わらず美しかった。<br />今だから言える。<br />きみのことが好きだったんだよ。<br /><br />子どもの頃からスポーツ万能で明るい性格だった友人。<br />同窓会の二次会、みんなを行きつけのスナックへ連れていってくれた。<br />忙しく動き回る姿を見て、相変わらずマメなヤツだなあと思った。<br />その半月後、コンビニの前でバッタリ出会った。<br />ちょっと淋しそうな、覇気のない笑顔を返してくれた彼。<br />それが、彼との最後の出会いだった。<br />その年の暮れ、彼はビルの屋上から身を投げ、自らの人生に終止符を打った。<br /><br /><a href="http://blog-imgs-31.fc2.com/p/i/n/pinkcat1009/hikaru3224-1.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-31.fc2.com/p/i/n/pinkcat1009/hikaru3224-1s.jpg" alt="hikaru3224-1.jpg" border="0" width="120" height="112" /></a><br /><br />１０月３日、３年ぶりの同窓会。<br />当時の恩師は、すでにこの世にいない。<br />前回の同窓会があった翌年、天に召されたと聞いている。<br /><br />それぞれの人生。<br />ランドセルをしょってた子どもたちがオトナになり、再び一堂に会する。<br />わずか３年の間にいろんなことがあった。<br />たぶん今回も、悲喜こもごものやりとりが交わされるんだろうな。<br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?821479"><img src="http://image.with2.net/img/banner/banner_23.gif" width="88" height="31" border="0" alt="人気ブログランキングへ"></a> ]]>
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<dc:date>2009-09-23T12:41:34+09:00</dc:date>
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<title>連載小説【走れエロス】8/8</title>
<description> エレベーターの扉が開くと、髭男爵が店の前に立っていた。「店には入れるな。客が動揺する」「じゃあ、どうします？」髭男爵がズボンのポケットからキーを取り出し、セイジに投げ渡す。「トランクに放り込んでおけ」再びエレベーターに乗せられ、背後からナイフを突きつけられる。「ちょっとでもヘンな動きしたら、これでブスッといくぞ」勝ち誇ったように、セイジが前に回ってきて、私の髪をグイッとつかんだ。「さっきはふざけた
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<![CDATA[ エレベーターの扉が開くと、髭男爵が店の前に立っていた。<br />「店には入れるな。客が動揺する」<br />「じゃあ、どうします？」<br />髭男爵がズボンのポケットからキーを取り出し、セイジに投げ渡す。<br />「トランクに放り込んでおけ」<br /><br />再びエレベーターに乗せられ、背後からナイフを突きつけられる。<br />「ちょっとでもヘンな動きしたら、これでブスッといくぞ」<br />勝ち誇ったように、セイジが前に回ってきて、私の髪をグイッとつかんだ。<br />「さっきはふざけたこと抜かしてくれよったな。誰が女装したいって？　あ？」<br />セイジの耳に、ピアスが光っていた。<br />「俺には女が３人もいてる。みんな俺のイチモツが欲しゅうて、ケツ振りながらおねだりしよるんや。そんな俺が、女装なんかに興味あるわけないやろ」<br />うしろのひとりが、それを聞いてクスッと笑った。<br />「おまえの女っちゅうても、ソープ嬢とかキャバ嬢ばっかりやないか」<br />「・・・なんやとコラ、もういっぺん言うてみい」<br />尋常でない目つきで、セイジが背後の男を睨みつける。<br />「じ・・・冗談やんけ。マジになるなや」<br />不穏なムードが漂い、エレベーター内が息苦しい沈黙に包まれた。<br /><br />エレベーターを出ると、ビルの裏手にある駐車場へ向かい、セイジがそこに停めてあったクラウンのトランクを開けた。<br />「入れ」<br />「・・・どこ、行くの？」<br />「さあな、俺も知らん。けど、地獄であることだけはたしかや」<br /><br />そこに、シンヤがぬっと現れた。怒りで、鬼のような形相になっている。<br />「おんどれら、ひかるを放せ」<br />「シンヤくん！　こいつら、ナイフ持ってるから気をつけて」<br />前のふたりがナイフをかざし、シンヤを取り囲むようにゆっくり移動する。セイジが私の髪をつかみ、首筋にぴたっとナイフを押しあててきた。<br />「ナイフやったら、俺も持ってるで」<br />シンヤが薄笑いを浮かべ、ジーンズの尻ポケットからバタフライナイフを取り出し、器用に刃を開いて見せた。<br />「バカな真似はやめて。３人相手に勝てるわけないでしょ」<br />「ンなもん、やってみんとわかるかい」<br />「あほ！　カッコつけてる場合か！　それより早よ警察呼んできて」<br />「俺は、ポリとヤクザが大嫌いなんじゃ」<br />なんでこう、血の気の多い連中ばっかりやねん・・・<br /><br />そのときだ。<br />髭男爵が拳銃を構え、ワゴン車の陰からひょっこり出てきた。<br />「兄ちゃん、ヤッパ捨てろや」<br />「ちぇっ、飛び道具とは卑怯なりぃ、ってか」<br />ナイフを、足元にぽとりと落とす。すかさずウエイターがそれを拾い上げた。<br /><br />「ふん、ええ度胸しとるやないか」と、髭男爵がにやりと笑う。<br />「こう見えても族のアタマ張ってるからな。こんなんでビビってたら、気性の烈しい族の連中に示しがつかん」<br />「どうせ誰も見てへんのや。そこに手ェついて詫びを入れたら、おまえだけは許してやってもええぞ」<br />「けっ、冗談は顔だけにしとけや。誰がおんどれなんかに頭下げるかい」<br />「そうか、ほな死ねや」<br />「おーっと。その前に、周りをよう見てみろ」<br />シンヤが指笛を鳴らすと、いっせいにバイクの轟音が響き、強烈なヘッドライトが次々に点灯した。まぶしくて目が開けていられない。<br />「飛び道具を持ってるのは、何もおっさんだけやないで。俺の仲間が、あんたの心臓に狙いをつけてる。命が惜しかったらチャカ捨てんかい」<br />「そんなこけおどしが通じるとでも思ってんのか」<br />「あ、そ。ほんなら証拠見せたる。おーいタカ、チャカ１丁持ってきてくれや」<br />ひとりが歩いてきて、シンヤに何かを手渡した。<br />「いまどきの族はチャカくらい持ってるで。まあ、めったに使わんけどな」<br />グッと拳銃を突き出し、髭男爵の頭部に狙いを定めた。<br />「わ・・・わかった。銃を捨てる」<br /><br />シンヤが歩いてきて、セイジをぎろりと睨みつけた。<br />「おまえ、さっきひかるを殴ったやろ。ちゃんと見とったんやで」<br />「・・・・・」<br />「抵抗できんやつしか殴られへんヘタレが」<br />ドスッとシンヤの拳がみぞおちにめり込み、セイジの目がくるりと裏返った。<br />「ほな行こか」<br />「うん・・・」<br />「どうした？」<br />ふてくされたような顔で突っ立っている髭男爵のほうを見た。<br />「秘密クラブで働くのを断っただけやのに、なんで殺そうとしたんですか」<br />「おまえが、大御所を怒らせたからや」<br />「たったそれだけの理由で？」<br />「おまえは、大御所の逆鱗に触れるようなことをしでかした」<br />「断っただけで逆鱗に触れるなんて、そんなムチャクチャな話ってある？」<br />「そうやない。うちのチーフと大御所は古くからの恋仲なんや。そのチーフが大御所に直訴した。俺がおまえをシャンゼリゼに入れようと企ててるから、なんとかそれをやめさせてほしいってな。ところがこれが見事に逆効果。大御所はおまえに烈しく嫉妬した。それで、おまえをなんとかシャンゼリゼに引き込み、言いがかりをつけて始末するつもりが、おまえがあっさり断ったもんやから話がややこしくなってしまった」<br />「・・・・・」<br />「さっきチーフが、わざとおまえを逃がそうとしてるのを見て問いただしたんや。あんな猿芝居、誰が見てもわかるからな。それで真相を知った」<br />「・・・チーフは、なんで私が秘密クラブに入るのを阻止しようとしたの？」<br />「一度入ったら、死ぬまで出てこれんからや」<br />「そんな、アホな」<br />「当たり前やろ。秘密厳守が売り物のクラブなんやぞ。男娼どもがホイホイ外出しとったら、顧客なんかひとりもおらんようになってしまうわ」<br />「じゃあ、年収１千万ってのは」<br />「有能な人材にだけ、ある程度の自由が与えられる。俺は、おまえがその適任者と睨んだ。その場合、もちろん報酬は支払われる」<br />「私に、何をさせるつもりやったん？」<br />「簡単にいうとスカウトやな。顧客の要望を聞いて、ぴったりの人材を全国から探してくる。おまえには、なぜか人を引きつける力がある。それを最大限に生かせば、シャンゼリゼの幹部として一定の地位を築ける」<br />「どっかのテロ支援国家やあるまいし、誰がそんなこと引き受けるか！」<br />「その場合は、死ぬまで顧客の慰み者として働いてもらうだけや」<br />「・・・やっぱりヤクザなんて、クズの集まりやね」<br />「違うな。俺らはただ、世の中のニーズに応えてるだけや。言い換えれば、世の中が俺らを必要としてる。つまり、クズは世の中のほうなんじゃ」<br />「そんなの詭弁や」<br />「まあ、今となってはそんなことどうでもええ。もうおまえとは二度と会うこともないやろう」<br /><br />「行こう」といって、シンヤが私の肩に手を載せてきた。<br />「今日限りで、うちのグループは解散する。いつまでもこんなアホなことやってられんからな」<br />「解散って・・・ホンマにできるの？　拳銃まで持ってるのに」<br />「ああ、これか？　よう見てみい。サバイバルゲーム用のエアガンや」<br />「・・・こんなもんで、本物のピストルに対抗したわけ？」<br />「バイクのハイビーム受けてたから、あいつらにはこれがオモチャのピストルってことはわからん。そこまで考えての行動や」<br />「賢いのかアホなのか、ようわからん」<br />「結果オーライじゃ。たまにゃこんな大バクチ打たなアカンときもあるわい」<br /><a href="http://blog-imgs-31.fc2.com/p/i/n/pinkcat1009/hikaru3181-1.jpg" target="_blank"><img src="http://blog-imgs-31.fc2.com/p/i/n/pinkcat1009/hikaru3181-1s.jpg" alt="hikaru3181-1.jpg" border="0" width="120" height="160" /></a><br />翌週、ルミ子ママのお店へ行くと、顔中に絆創膏を貼りつけたシンヤくんがスツールに座っていた。<br />「なんで、ここがわかったん！」<br />「ネカフェで女装関係のサイトを片っ端から検索してたら、この店の掲示板におまえの名前が載ってた」<br />「・・・その怪我は、どうしたん？」<br />「族を解散したんや。アタマとして、ケジメだけはつけとかんとな」<br /><br />奥の更衣室から、とびっきり派手な衣装とメイクの明菜さんが出てきた。<br />「あ～らひかるちゃん、会いたかったわ」<br />「げっ！」<br />「ん？　こっちのイカすお兄さんは？」<br />「あ・・・ああ。私のお友だち、シンヤくんです」<br />「いい男ねえ。私にも紹介してよ」<br />ヤクザに拳銃やナイフを突きつけられても動じなかったシンヤくんが、隣で完全に血の気を失っていた。<br /><br />ふと見ると、カウンターの端っこに大きな花束が置いてある。<br />「ママ、今日は誰かの誕生日？」<br />「それが私にもようわからんのよ。さっき宅配の人が届けてくれたんやけど、差出人を見ても大御所としか書いてないし・・・きっと誰かのイタズラやね」<br />それを聞いて、私とシンヤくんが同時に固まった。<br /><br />「大御所って、もしかして」と、明菜さんが怪訝そうな表情を浮かべた。<br />「さ、そんなことどうでもいいから、３人で乾杯しましょ」<br />かちんとグラスを鳴らし、ビールをひと口飲む。緊張していたせいか、なかなかビールが喉を通らなかった。<br /><br />そこに、常連の女装さんが入ってきた。<br />「ひかるちゃん、おひさしぶり。先週来てたんやってね」<br />いちばん手前のスツールに座り、シンヤくんと明菜さんをチラチラ見てる。<br />「あら？　ママ、その花束どうしたの？」<br />「ああ、これね。誰かのイタズラちゃうかって今話してたトコなんよ」<br />「そんな花、よう見つけてきたもんやわ」<br />「どういう意味？」とママ。<br />「濃い赤色のバラなんて、普通の花屋さんじゃ扱ってないもの」<br />「・・・・・」<br />「そのバラの花言葉はね、死ぬまで憎みます、よ」<br />「それホンマ？　くそ・・・なんちゅう縁起の悪いイタズラしやがるんや」<br />ママがバラの花束をつかみ、ゴミ箱に放り込もうとして、一瞬手を止めた。花瓶から引き抜いたバラの花束から、赤い水がしたたっていた。束ねていたひもをほどき、おそるおそるカウンターに広げる。<br />ころん、と人間の指が出てきた。<br />「うわっ！」<br /><br />明菜さんが白くふやけた指をつまみ上げ、丹念に眺め回す。<br />「これは、男の指やな。しかも、かなりでかいやつや」<br />心当たりは、ただひとり。<br />「ママ、配達人はどんなヤツやった？」<br />「・・・そういえば、宅配の人には見えんかったな。黒いスーツを着た若い男の人で、あ、そうそう、耳に金のピアスしとったわ」<br />「受け取り伝票、ちょっと見せてくれへんか」<br />「ここにあるけど・・・とにかく、早よそんなもん捨ててきてほしいわ」<br />それを無視し、明菜さんが受け取り伝票をじっくり調べる。<br /><br />「店名と住所、それと差出人欄に大御所と書かれてるだけや。いや待てよ、裏側にちっちゃい字で何か書いてある。ええっと・・・ひ・か・・・」<br />読み上げるのを中止し、そのまま自分のバッグにしまい込んだ。<br />「明菜ちゃん、何が書いてあったの？」と、ママ。<br />「いや、何も書いてへんかった。こんな縁起でもないもん、早よ始末しとこ。俺が外のゴミ箱に捨ててきたるわ」<br />「明菜ちゃん、俺なんて言うたらアカンでしょ。けど、冷静に考えたら、やっぱり警察に連絡したほうがええかな」<br />「ポリなんか呼んだら根掘り葉掘り聞かれるで。それでもいいならどうぞ」<br />「・・・それはちょっと面倒やな。わかった、捨ててきて」<br /><br />おしぼりで指をくるみ、明菜さんが立ち上がったので、私も一緒に立ち上がった。シンヤくんも同時に立ち上がる。<br />エレベーターの中で、３人とも無言だった。<br />１階に着いて出ようとすると、すかさず明菜さんが私たちを制止した。<br />「ここにいろ。俺が様子を見てくる」<br />１０秒ほどして、明菜さんが戻ってきた。「ええぞ」<br /><br />ビルの横にある大きなゴミ箱に、明菜さんがおしぼりを投げ入れた。<br />「さっきの紙、なんて書かれてあったんですか」<br />「・・・見んほうがええ」<br />「見せてください」<br />渋々、明菜さんが受け取り伝票を差し出す。<br />ひっくり返すと、下のほうに小さな文字でこう書かれていた。<br />《ひかるに黒薔薇の接吻を》<br /><a href="http://blog.with2.net/link.php?821479"><img src="http://image.with2.net/img/banner/banner_23.gif" width="88" height="31" border="0" 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<dc:date>2009-09-13T15:23:40+09:00</dc:date>
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